仙台地方裁判所石巻支部 昭和39年(む)24号 判決
少年 S・H子
主文
本件忌避申立を却下する。
理由
本件忌避申立の趣旨は、末尾添付の弁護人三名の作成に係る忌避申立書記載のとおりである。
被告人S・H子に対する頭書被告事件の記録によると、右被告事件はさきに仙台家庭裁判所石巻支部に少年保護事件として繋属し、同支部裁判官大関隆夫が審判のうえ刑事処分を相当と認め昭和三九年九月七日、少年法第二〇条により右事件を仙台地方検察庁石巻支部検察官に送致する決定をなしたこと、同月一六日、同支部検察官から当裁判所に対し、前記被告事件として起訴され大関裁判官が右被告事件につき、当裁判所の裁判官として、公判手続に関与したものであることはいずれも明白である。
しかし、少年保護事件につき裁判官が少年法第二〇条により事件を検察官に送致する決定をしたことは、事件について刑事訴訟法第二六六条第二号の職務を行つたときにあたらないことは勿論その他同法第二〇条第七号所定のいずれの事由にも該当しない。また、裁判官がさきに少年保護事件の審理をなし、少年法第二〇条の決定をしたからといつて、ただちにその裁判官が不公平な裁判をする虞があるものと断ずることはできない。
よつて、本件忌避申立は、その理由がないものというべきであるから、主文のとおり決定する。
(裁判官 阿部市郎右 裁判官 和田啓一 裁判官 福家寛)